「ああ・・そういうことか~」
塾生に対し算数の指導を行うと、しばしばこのような声が上がります。しかし、この言葉が発せられる背景には2つのパターンがあります。
①解法や立式が理解できた。
②問題文の意味が分かった。
一般的に“算数の問題が解けない”という場合、理由①を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、実際は問題文の意味、つまり、何を答えればよいのかが分からずお手上げ!というケースが非常に多いのです。
特に小学5年生の「もとにする量や」や「割合」を履修するあたりから、その傾向が一段と強くなります。割合の文章題は本当に苦手な子が多いですね。
もちろん、ウチの子はそんなに割合のテストが悪くなかったけどな・・・という親御さんいるでしょう。ただ、ご用心ください。もしかしたら、掛けてダメなら割ってみな作戦を使っているかもしれません。
例えば、割合のこんな問題があります。
【問題】
今朝産まれたたまごのうち、6個が割れていました。これはたまご全体の2%にあたるそうです。産まれたたまごは全部で何個ですか。
このような百分率を使った問題は、まず2%を0.02になおしてから計算に入ります。今回はたまご全体の個数、つまり、“もとにする量”を求めますので、“くらべる量”(割れた個数)を割合である0.02で割り、
6÷0.02=300個
と解いていきます。
このような問題において、文の意味や割合が分からない子は、とりあえず掛けてしまえ!と解いていくことが多いようです。
しかし、実際に掛けると6✕0.02=0.12と1個にも満たないという解になってしまいます。これはマズイ!ということで今度は急いで割ってみる。すると今度は、何となくよさげな整数になった。よく分からないけどこれでいいか!という感じです。
案外こんな感じで点数は取れてしまったというケースもあるので、実際に問題文の意味や割合を理解していたかについては、直接子どもに確認してみるしかありません。
さて、問題文の意味が分からないとお子さんがよく言っているのならば、今後も厳しい道のりが待っているかもしれません。原因はその子の読解力不足にある可能性が大きいからです。そこを解決しない限り、根本的な改善は見込めません。
さらに、もし読解力不足で問題文の意味が分からないというのなら、当然、その解説を読んでもチンプンカンプンということになります。基本的に問題集などの解説は、問題文自体の説明をしていません。何を聞かれているか分からないまま解説を読んでも、理解できるはずがないのです。
しかし、それではその学習が自己完結できないことになってしまいます。もし、読解力がある子ならば、解説を読み自分で解決する可能性も高いのです。これは非常に大きな差です。
このように算数であっても、ベースとなる読解力の高低は、その理解の深度、スピードに大きな影響を与えます。これが、まず読解力を手に入れよと私が言い続ける理由の1つでもあるのです。