学びの箱庭~塾講師の取組み~

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【意味怖読解問題5】カメラは知っている

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次の文章を読み、各問いに答えなさい。※解答・解説は下部

 

「やるよ。もう必要ないから。」

 

そう言って親父が俺に渡したのは、古いデジタルカメラ

 

「このカメラにはな、写された人の死に顔が写るんだよ。」


「は?何だよそれ、全然面白くねーよ。」


親父は黙ったままだった。ただその横顔は少し寂しそうだった。数ヵ月後、親父は死んだ。急性の心臓発作だった。

 

それからしばらく経ち、たまたま家に遊びに来た友人にその話をしてみた。親父から話を聞いて以来、なんとなくカメラのことは気になっていたし、そいつは大の怖いもの好きだったからだ。


「本当なのか?その話。」


友人がカメラをいじりながら俺に尋ねた。


「さあね、俺は使ったこと無いし・・・・・・なあ、試してみるか?」


「・・・いいぜ。お互いを写すってことでいいよな?それじゃあ俺からな。」


おい待て、冗談で言ったんだぞ、と言う間もなくパシャリ。すぐに二人でカメラ背面の液晶画面を確認する。


「な~んだ、いつもと変わらないぞ。」


 まあ、そりゃそうだろう。冷静に考えればそんなカメラあるはずないのだ。安心した俺はカメラを受け取り、記念に・・というか仕返しとして友人をパシャリ。


「お、おい、なんだよ、これ・・・。」


俺の意に反して、画像を見た友人の表情がみるみる凍りついていく。それもそのはず。写ったのは確かに友人なのだか、その顔は血まみれだったのだ。


「お前!カメラに何かイタズラしただろ!」


もちろんそんなことはしていない。その後、機嫌を悪くした友人は画像を削除しさっさと帰ってしまった。どうやら質の悪いドッキリだと思われたようだ。とにかく、すぐに誤解を解かなければならなかったのだが、結局その機会は訪れなかった。

 

撮影から数日後、その友人が交通事故で亡くなってしまったのだ。聞いた話では即死。しかもその顔は血まみれだったそうだ。あの時の画像が頭を過ぎる。どういう理屈か分からないが、確かにあのカメラには“死に顔”を写すようだ。

 

ただ、それも今回が最後だ。もう二度とあのカメラは使うまい。そんなことを考えながら俺は友人の分も強く生きようと心に誓った。

  

 

【問一】下線部①「その話」とありますが、どのような話ですか。【 】に入る適切な言葉を文中から12字で抜き出しなさい。


父親からもらったカメラには【         】という話

 

【問二】下線部②「お互いを写すってことでいいよな?」とありますが、お互いを写した結果、どのような写真が撮れましたか。文中の言葉を使ってそれぞれ書きなさい。

 

   俺・・・
   
   友人・・

 

【問三】下線部③「俺は友人の分も強く生きようと心に誓った。」とありますが、残念ながらその願いは叶えられそうにありません。その理由を書きなさい。

 

 

 

※問題は以上です。

 

 

 

解答・解説

 解答

《問一》 写された人の死に顔が写る 

《問二》 俺・・・いつもとかわらない姿

     友人・・血まみれになった顔 

《問三》(例)写された姿がいつもと変わらないのであれば、死期が近い可能性が高いから 

 

解説

《三》

俺はいつもとかわらない、つまり、現在とそうかわらない姿で写っていることになります。つまり、撮影時点からあまり年をとらないうちに亡くなる可能性が高いということになるのです。