学びの箱庭~塾講師の取組み~

学習塾のオーナー塾長が様々な学びについて綴っていきます

【速読トレーニング用意味怖問題⑦】いつもそこにある死 約1000字、目標速読タイム19秒)

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  速読トレーニング用の意味怖文章です。時間を意識して、1文字1文字見るのではなく『文章全体」を見るように読んでくださいね!!

【読解スピード目安】 

※この問題は約1000文字です。

小学生高学年レベル 2分

大人レベル 59秒

目標速読レベル 19秒

 【本文を読む前に】

今回のポイントはズバリ両親の死の理由です!

 ~以下本文~

誰にでも「あの野郎、死ねばいいのに」と思うことぐらいあるだろう。だけど、それが現実になることなどあってはならない。だから僕は、小さい頃からそれを必死に否定してきた。

幼稚園の時、喧嘩した男の子が翌日に死んでしまったことがあった。後味の悪さみたいなものは感じていたけれど、その時はただの偶然だと思っていた。

しかし、小学生になって僕は少しずつ違和感を感じ始めた。その頃、理不尽に体罰をする先生がいて僕もその標的の一人だった。ある日、その理不尽さに耐えかね、思わず先生を睨みつけ、汚い言葉を投げつけたことがあった。もちろん直ぐ様、『その言い方は何だ!!』とさらに酷い体罰を浴びることになった。”あんな先生死ねばいいのに!”僕はその時、はっきりと死を願った。そして翌日、その先生はあっさり事故で死んでしまった。

 確信めいたものを感じたのは中学の時だ。入学してしばらく経つと僕は4人のグループからイジメを受けるようになった。最初は軽い弄りであったが、徐々にエスカレートしていき、やがて僕は4人全員の死を望むようになった。そして、それは少しずつ叶えられていった。結局、4人には等しく死が与えられたのだ。

もう、否定することはできない。間違いなく、僕には死ね!と思った相手を殺す能力がある。こんなことは誰にも言えないし、また、言ったところで変人扱いされるのがオチだろう。それでも自分自身が怖くてしかたなかった。誰にも怒らず、恨まず、心安らかに生きなければならないと強く心に刻んだ。

・・・にもかかわらず、高校に入ってしばらくすると僕のまわりで何人かの人が死んだ。獲物を見つけたかのように絡んでくる不良グループの奴や、感じの悪い女子。ただ、その誰に対してもそこまで強く死を望んでいるわけではなかった。もしかしたらこの”力”が強くなっているのかもしれない。そう思うと僕の心は軋み始めた。もう限界だった。僕は泣きながら母に全てを打ち明けた。

 僕の告白に母は驚き、最初は信じようとはしなかった。当然だろう。しかし、偶然にしては僕の周りで人が死に過ぎるとは感じていたようだ。

父が会社から帰宅し、3人で家族会議を行った。最終的に両親とも僕の話を信じ、『今まで本当に辛かっただろう。お前が悪いわけではない。これは家族みんなで背負っていく罪だ。』と言ってくれた。悩んだけれど思い切って打ち明けて本当に良かった。僕は両親に心から感謝した。その日の夜は深い安堵に包まれ、久し振りにぐっすりと眠ることができた。そして翌朝、父と母は死んでいた。

  ~本文終わり~

 

 【両親の死の理由とは】

主人公”僕”が持っている力は、僕が死を望んだ相手が死ぬのではなく、僕のことを死ねと思った相手が死ぬというものです。つまり、僕がどう思うと関係ないんですね。ということで、両親の死を理由は僕の死を望んだからということになります。両親としては罪を一生に背負うのではなく、厄介ごとを背負い込んだということですね。意味が分かると悲しいお話でもあります。