国語力の箱庭~塾講師の自作問題など~

「意味が分かると怖い話」を元ネタとした読解問題など、学習塾のオーナー塾長が国語力について綴っていきます

【速読トレーニング用意味怖問題⑥】出張先にて(約800字、目標速読タイム16秒)

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  速読トレーニング用の意味怖文章です。時間を意識して、1文字1文字見るのではなく『文章全体」を見るように読んでくださいね!

【読解スピード目安】 

※この問題は約800文字です。

小学生高学年レベル 1分28秒

大人レベル 47秒

目標速読レベル 16秒

 【本文を読む前に】

最後の同僚の言葉(下線部)の意味を考えてみましょう。同僚は意地悪をいっているわけではありませんよ。

 ~以下本文~

今日、出張で泊まるホテルは、どうやら出るらしいぞと出発前に同僚から脅かされていた。 

ビビリな俺は、夜チェックインするとすぐにシャワーを浴び、さっさとベッドにもぐった。しばらくすると、部屋のドアをノックする音が聞こえる。もう深夜であった。嫌な予感しかない。 

もしかしたらホテルの人かもしれないと思い、一応声をかけたが返事はない。恐る恐るドアに近づきドアスコープから外を覗くと・・・・やはり誰もいない。

 畜生、やっちまった。同僚から脅かされた時、会社に無理を言ってでも宿を変えてもらえばよかった。しかし、今さらそんなことを悔やんでも始まらない。実際、その間にもノックの音は激しさを増していた。いや、それはもう”ノック”というレベルを通り越し、叩き壊すほどの勢いだ。

そのうちノックだけでなくドアノブもガチャガチャと悲鳴を上げ始めた。時折ドスンという鈍い音も聞こえる。どうやら体当たりをしているようだ。間違いない、ヤツは”こじ開けよう”としている。そして、もしドアが開いて室内に入られてしまったら・・・そこから先は考えたくもなかった。

そこから俺にできたことと言えば、ただ頭から布団をかぶり念仏を唱えることだけだった。 結局、その後もしばらく音はし続けたもののドアが開くことはなく、夜が明ける頃になってやっと静かになった。

俺はすぐに荷物をまとめ、早朝にもかかわらずチェックアウトした。なんとか出張先での仕事を終え、早速同僚にその話をすると、「やっぱりな。」とこんなことを話してくれた。 

そのホテルは以前火事になり、逃げ遅れた人がいたという。その人は運悪く部屋の中に閉じこめられ、そのまま亡くなったそうだ。恐らく、俺の泊まった部屋がその現場なのだろう。ああ、でもよかった。ドアを開けていたら今頃どうなっていたことか。だが、そう同僚に言うと、

『何を言ってんだよ。すぐにドアを開けてやれば何事もなく終わってただろうが。

と真面目な顔で返されてしまった。コイツ、俺に取り憑かれろってことなのか?意地悪な奴だよ。 

 ~本文終わり~

 

 【同僚の言葉の意味】

この部屋に憑いているのは”部屋に閉じ込められ逃げ遅れて”亡くなった方の霊だと考えられます。ならば、その霊は室内に入ろうとしていたのではなく、”出よう”として必死だった、つまり、霊はずっと室内にいたのです。

よって、ドアを開けてあげれば(霊は外に出て)怪奇現象はすぐに収まったのではないかと同僚は考えたわけですね。

速読をしているときは、「この話の流れはこうなるであろう」という予測を立てながら読み進めることが多いです。この話の場合、前半部分の霊が室内に入ろうしている”振り”に引っ掛かってそのイメージを引っ張り、後半の死亡原因についての読みが甘くなる傾向があります。気をつけたいところですね。