学びの箱庭~塾講師の取組み~

学習塾のオーナー塾長が様々な学びについて綴っていきます

小学生の読解力アップにオススメの漫画

学習塾の塾長ということもあって、小学生の親御さんから“オススメの本”を聞かれることがあります。そんな時、まず第一にお答えするのが

 


 

このシリーズは以前、一世を風靡した“ビリギャル”の著者である坪田信貴先生も、大学受験にまで使えるとその著書の中で述べておられました。


ただその一方で、この漫画を読んでも得られるのは歴史の知識だけではないかという声や、マンガを読んでも読解力は上がらないのではという意見も多く聞かれます。


しかし、私自身は小学生低中学年の読解力をつける手段として、この漫画の利用は非常に有効であると考えています。それは、歴史の知識の習得以外に

 

語彙量が増える

 

という効果が期待できるからです。

 

語彙量の多寡が読解に与える影響が少なくないことは、説明するまでもないことだと思います。知らない言葉が多ければ多いほど、その文が読みにくくなるのは大人も同じです。


例えば、この漫画シリーズでは歴史上有名な「桶狭間の戦い」が約10ページにわたって描かれていますが、この中だけで小学生に習得してほしい語彙や表現をあげてみると・・・

 

時が来た
もはや
万全
目前
ふさわしい
いっそ
けんめい(賢明)
手うす(手薄)
好都合
たくみな(巧みな)
ふがいない
不意をつく

 

など、たくさんあります。日常生活ではなかなか使わない語彙も多いと思いますが、漫画ならばこのような語彙をストーリーの中で自然に吸収することができます。これが重要なんですね。


以前、塾で小学生の語彙量を上げるために語彙ドリルを採用したことがあったのですが、まあ塾生の食いつきが悪いんですよね。やっぱり、ただ語彙を習得するだけのドリルは面白くないのでしょう。


そもそも、小学生に“将来のため”という、彼らにしてみればひどく漠然とした目標で、興味も面白くもない学習を継続させるのはなかなか難しいことです。塾のように環境が変わるならまだしも、家庭学習となれば、そりゃあさっさと終わらせてゲームをしたくなりますよ。


その点、この歴史まんがにハマれば、楽しく、集中して語彙量を積み上げることができます。もちろん、語彙だけではありません。このまんがには、助詞の使い方、副詞の呼応などなど文章を読む、作る上で知っておきたい知識がてんこ盛り。正直、歴史の知識より、このような語彙・表現・文法の習得の方が小学生にとって有益なのではと思っています。


ということで、歴史まんがをおすすめする理由をお話してきたのですが、語彙量アップという観点で言うと、歴史まんがであれば、特に小学館版である必要はありません。学研まんがの歴史シリーズでも良いと思います。


また、いきなり全巻揃えるなんてことも必要ありません。まずはブックオフあたりで面白そうなところを何冊か買って様子を見るというのもありです。まず間違いなく1店舗で複数冊置いてありますので、お子さんと一緒に選んでみるのも良いでしょう。


もちろん、まず図書館で借りてみるという手もあります。ただ、何の拍子で興味がわくか分からないですし、そのタイミングを逃したくないので、いつでも手に取れるように1,2冊だけでも本棚に突っ込んでおくことをおすすめします。