古文独特の世界観を現代人ならではのツッコミを入れながら楽しく学んでいきましょう!!
さて、今回の作品はツッコミ古文の聖典「沙石集」のエピソードである『無言上人事』です。どうぞお楽しみください!
【このお話のツッコミポイント】
いや、お前も喋るんか~い!
『原文(入試用問題文)』
(山寺の僧が)四人座を並べて、七日の無言を始む。承仕(※)一人を道場に出入りしける。ここに、更たけ夜ふけて、灯の消えんとしけるを、下座の僧、
「承仕、火かきあげよ」
と言ふを聞きて、次の座の僧、
「無言の道場にして、もの申す様候(さうら)はず」
と言ふ。第三座の僧、二人ともにもの言ふこと不思議におぼえて、
「狂はしたうな」
と言ふ。上座の老僧、面々に様はかはれども、もの言ふこと、あさましく もどかしくおぼえて、
「法師ばかりぞものは申さぬ」
と言ひて、うちうなづきける。賢げにて殊(こと)にをこがましくぞおぼゆる。
※承仕・・・身の回りの世話をする若い僧のこと
『現代語訳』
ある山寺に居住する四人の僧が、お堂に入って7日間の無言の行を始めることにした。お堂には四人の他には、承仕(身の回りの世話をする若い僧)がお堂に出入りするだけであった。深夜になって、灯火が消えそうになったので下座の僧が、承仕に
「灯火の芯を掻き上げよ」
と指示した。並んで座していた僧が、
「無言の行ぞ、ものを言ってはいかん」
と下座の僧に
注意した。第三座の僧は、二人がものを言ったので不機嫌になって
「心を乱してはダメだ」
と二人を諫めた。上座の老僧は、内容は異なっていても、面々がものを言っているこ
とを、内心で嘆かわしく思いながら
「ものを言わないのは私だけじゃ」
と言って頷いた。この賢げにしているのが特にみっともなく思われることである
『ツッコミ解説』
流れるような展開。どのアプローチからからツッコむのか、こちらのセンスが問われる作品です。
私にはもう一つツッコミ候補がありました。それは
「全員、アウトォォォ!」
というもの。大晦日名物『笑ってはいけない』シリーズの名フレーズですが、もう放送していないということで見送って、このツッコミにしました。コミカルな内容の作品ですが、しっかり公立高入試問題に採用されています。このような文に触れて中学生達も古文をより身近な存在として感じてほしいと思います。
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