古文独特の世界観を現代人ならではのツッコミを入れながら楽しく学んでいきましょう!!
さて、今回の作品は江戸中期の噺本『露休置土産(ろきゅうおきみやげ)』より『猪のししの蘇生』です。どうぞお楽しみください!
【このお話のツッコミポイント】
いや、ウマいこと言ってる場合か。
『原文(入試用問題文)』
ある狩人、猪のししを見付け、打取らんと思ひ、あわてて玉を忘れ、空鉄砲をはなしける。うろたへる猪にて、おどろきて死しけり。かかる所へ、猪買来りければ、さいわいと思ひ、売りけるが、買手、
「何と、この猪には鉄砲のあともなし。いつ死んだもしれぬ。古うはないか」
といへば、狩人、「たった今、打ちました」「いや、古そうな」とて、引かへし見れば、かの猪、むくむくと起きあがり、山をさして逃げける。狩人、指ざしして、
「あのあたらしさを御覧ぜ。」
『現代語訳』
ある狩人が猪を見つけたので、狩ろうと思ったが、慌てて弾を込め忘れ、空砲を撃ってしまった。うろたえた猪は、その音に驚いて死んでしまった。そのようなところにちょうど猪を買う商人が来たので、これ幸いと売りつけようとしたが、その商人は
「何と、この猪には鉄砲で撃たれた跡がない。いつ死んだのかも分からない。古いものではないのか?」
と言うので、狩人は「たった今撃ちました。」「いや古そうな」(などと話しているうちに)振り返って見ると、その猪はむくむくと起き上がって山を目指して逃げていった。それを見た狩人は指さして
「あの新鮮さを御覧なさい。」
と言った。
『ツッコミ解説』
このお話は落語の「池田の猪買」の原話です。ちなみに「露休置土産」は上方落語の祖とも言われる露の五郎兵衛(つゆのごろべえ)のネタを纏めた本で、このようなお話がたくさん収められています。
まあ、落語のネタになるぐらいですからツッコミどころもしっかり用意されているわけで、読者側も慌てることなく安心してツッコむことができますね。
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