学びの箱庭~塾講師の取組み~

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高校入試”ツッコミ”古文①『安養の尼上の小袖(横川の恵心僧都の妹)』~古今著聞集~【現代語訳先行版】

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古文独特の世界観を現代人ならではのツッコミを入れながら楽しく学んでいきましょう!!

さて、今回の作品は『古今著聞集』から『安養の尼上の小袖(横川の恵心僧都の妹)』です。現代人の感覚では『そうはならんやろ!!』というツッコミどころが満載のこのお話。赤字は私が入れたツッコミですが、皆さんもいろいろ考えてツッコンでみてくださいね!!

  

『現代語訳』

横川の恵心僧都の妹である、安養の尼上のもとに強盗が入りました。 

強盗達は家にあった物をすべて取って出ていったので、尼上は紙衾(かみぶすま)というものだけ、着て座っていました。 

そこに(安養の尼上の)姉である尼のもとにいた小尼君という者が、走って参上して見たところ、強盗が盗んだ小袖をひとつ落としていたのを見つけました。 

そこで小尼君が尼上に 

『強盗がこれを落としてございます。お召ください。』

といって、持ってきたところ、安養の尼上は

強盗たちもそれを取ったあとは、その小袖のことを自分の物と思っているでしょう。持ち主の納得がいかないものをどうして着ることができましょう、いやできません。《いや、できるやろ!》彼らはまだ決して遠くへは行かないでしょう。早く早く持っていらっしゃってお与えなさい。』

とおっしゃっいました。そこで小尼君は門の方へ走り出て、『これこれ。』と強盗を呼び返して、《君らまだおったんかい!》

これを落としましたよ。間違いなく差し上げましょう。《いや、ドヤ顔で返したらあかんやろ!》

 と言ったので、強盗たちは立ち止まって、少しの間あれこれと考えている様子で、

『具合が悪い所に参上してしまった。』

といって、取った物をすべて返して帰っていったということです。《すぐに改心していくぅ~

 

いかがだったでしょうか。 以下は今回のお話の原文です。

 

 『原文』

横川の恵心僧都妹、安養の尼のもとに、強盗に入りにけり。物どもみな取りて出でにければ、尼上は紙衾(かみぶすま)といふものばかり負ひ着て居られたりけるに、姉なる尼のもとに、小尼公とてありけるが、走り参りて見ければ、小袖を一つ取り落したりけるをとりて、「これを盗人取り落して侍りけり。奉れ」とて、持ちて来たりければ、尼上の言はれけるは、「これも取りて後は、わがものとこそ思ひつらめ。ぬしの心ゆかざらんものをば、いかが着ける。盗人はいまだ遠くはよもゆかじ。とくとく持ちておはしまして、取らさせ給へ」とありければ、門の方へ走り出でて、「やや」と呼び返して、「これを落されにけり。たしかに奉らん」と言ひければ、盗人ども立ちどまりて、しばし案じたる気色にて、「悪しく参りにけり」とて、取りたりける物どもをも、さながら返し置きて帰りにけりとなあん。