古文独特の世界観を現代人ならではのツッコミを入れながら楽しく学んでいきましょう!!
さて、今回の作品は唐物語より『賈氏といふ人、類なく容貌わろくて』です。タイトルからして不穏な感じですが・・・・どうぞお楽しみください!
【このお話のツッコミポイント】
切なすぎません?
『原文(入試用問題文)』
昔、賈氏といふ人、類(たぐひ)なく容貌(かたち)わろくて、顔うつくしき妻(め)を持ちたりける。この女、かばかり醜き人とも知らず会ひ初めにければ、悔しきこと取りかへすばかりにおぼえけど、いふ甲斐(かひ)なくて明かし暮らすに、良きこと悪しきこと、すべてもの言はず、えも笑はで、世の常はむすぼほれてのみ過ぐしけるを、男、類なく憂(う)しと思ひて、この女にもの言はせ、うち笑ませばやとしけれども、いかにも甲斐なくて、三年(みとせ)にもなりたりけるに、春、野辺に出でて、もろともに遊び侍りけり。雉子(きぎす)といふ鳥の、沢のほとりに立ちゐ侍りけるを、この夫、弓矢を取りて名を得たりければ、この雉子をたちどころに射殺(いころ)してけり。これを見るに年ごろの憎さも忘れて、褒め、うち笑みたりければ、夫、嬉しさ類なくおぼえて、
聞かましや 妹(いも)が三年の 言の葉を 野沢の雉子 得ざらましかば
これを聞くにこそ、よろづのこと良くしまほしけれ。
『現代語訳』
昔、賈氏という人(がいて)、比類ないほど容姿がよくなくて、顔の美しい妻を持っていた。この女は、(賈氏が)これほど醜い人だとは知らず、結婚したので、悔しいことといったら(結婚を)やり直したいほどに思っていたが、どうしようもなく生活していたところ、(女が)良いこともにも悪いことにも、全く何も言わず、笑いもできず、いつも気分が晴れないで過ごすばかりだったことを、男はこの上なくつらいと思って、この女に何か言わせ、笑わせたいと(あれこれ)したが、どうにも効果がなくて、三年になった(経った)ときに、春、(男は女を連れて)野原に出かけて、一緒に遊びました。雉(きじ)という鳥が沢のほとりに立っていましたのを、この夫は、弓矢の腕前のすばらしさで名声が高かったので、この雉をたちどころに射止めてしまった。(女は)これを見ると、長年も不満も忘れて、(男を)褒め、微笑んだので、夫は、この上なく嬉しく思って、(次のような和歌を詠んだ。)
沢にいた雉を射止められなかったならば、3年も待った妻の言葉を聞くことはなかっただろうなあ。
この話を聞くと、何事も上手になりたいと思うものだ。
『ツッコミ解説』
冒頭から”比類がないほど容姿がよくない”とぶっ放し、アクセル全開の今作。もともと古文は教訓を導くエピソードが強引になりがちなんですが、
何事も上手くなるとイイネ!
ぐらいの教訓にいくらなんでもこのエピソードは切な過ぎる。夫の健気さに胸が締めつけられちゃったもん。
私もルックスが良くないから身につまされますよ。もっとも、男性と女性でこの話の受け取り方は変わるかもしれませんね。もしかしたら、夫、報われて良かったね~って感じる人もいるのかな。
だけど、夫側の男性として今回ちょっと感情的にツッコんじゃう。もうちょっとマシな教訓を導けなかったのかと・・・・。
↓合わせて読みたい↓
↓ツッコミ古文1番人気!!↓
↓がんばれ鳩さん!うぐいすに負けないで!↓