学びの箱庭~塾講師の取組み~

学習塾のオーナー塾長が様々な学びについて綴っていきます

高校入試”ほっこり”古文①『京にて猫をうしなへる者あり』~醒酔笑~【原文先行版】

今回も新シリーズとなります!その名も”ほっこり古文”!。現代人の我々も思わずほっこりとするエピソードを紹介していきます。

今回のお話は江戸初期の笑話集”醒酔笑(せいすいしょう)”より『京にて猫をうしなへる者あり』です。どうぞお楽しみください!

【このお話のほっこりポイント】

今も昔も猫の可愛さ変わらず。

『原文(入試用問題文)

京にて猫をうしなへる者あり。厨子小路にいたり、身をやつし尋ねしが、ある所にて不思議に見付け、

「これはわが猫」

といふ。亭主出で

「そちがといふ証拠は。」

また

「汝がといふ証拠は。」

惜しく欲しくのあらそひなれば是非、終にわかたず。板倉伊賀守、是非の相手二人を対座さあせ、くだんの猫を座敷におき、

「もとの主も今の主も、手に鰹を一ふしづつ持ちて呼べ。生まれてよりそだてなれたる方へこそ行くべけれ。」

と。案のごとく、始めうしなひし者の膝の上へ、なくなく行きしことよ。

『現代語訳』

京で猫を失った者がいた。路地や小みちまでも、身がやつれるほど苦労して探したが、ある所で思いがけなく見つけて、

「これは私の猫だ。」

と言う。

あるじが出てきて

「お前の(猫)だという証拠は。」(あるのかと言う)

一方は猫を失うのが惜しく、一方は猫を手に入れたいという争いなので、どちらが正しいか、最後まではっきりしない。板倉伊賀守は、どちらが正しいかを争う二人を対座させて、例の猫を座敷の中央に置き、

「もとの持ち主も、今の持ち主も、手に鰹節を一つずつ持って(猫を)呼びなさい。生まれてから育ててなついている方へ行くに違いない。」

と(言う)。案の定、初めに失った者の膝の上に、(猫は)鳴きながら行ったということだ。

『ほっこり解説』

これはあまり解説も要らないですね。今も昔も猫の可愛さは変わらずということです。最後の”膝の上、なくなく行きしことよ”の場面、やっと飼い主に会えた猫ちゃんの甘えた鳴き声が聞こえてくるような気さえします。

 

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