※実際は武士の姿に化けています。
古文独特の世界観を現代人ならではのツッコミを入れながら楽しく学んでいきましょう!!
さて、今回の作品は皆さんおなじみ「徒然草」のエピソードである『筑紫に、なにがしの押領使』です。どうぞお楽しみください!
【このお話のツッコミポイント】
ナナメ上過ぎる功徳!
『原文(入試用問題文)』
筑紫に、なにがしの押領使などいふやうなるもののありけるが、土大根の万にみじき薬とて、朝ごとに二つづつ焼きて食ひける事、年久しくなりぬ。
ある時、館の内に人もなかりける暇をはかりて、敵襲い来りて囲み攻めけるに、館の内に兵二人出で来て、命惜しまず戦ひて、皆追ひ返してけり。いと不思議に覚えて、日ごろここにものしたまふとも見ぬ人々の、かく戦ひしたまふは、いかなる人ぞと問ひければ、年ごろ頼みて、朝な朝な召しつる土大根らにさぶらふと言ひて、失せにけり。
深く信をいたしぬれば、かかる徳もありけるにこそ。
『現代語訳』
筑紫に、なにがしの押領使というような役人がいたが、大根を全ての病気に効く薬だといって、毎朝二つずつ焼いて食べることが長年にわたっていた。
ある時、(押領使が勤める)屋敷の中に人がいない隙を見計らって、敵が襲ってきて囲んで攻めた時に、屋敷の中から武士が二人出てきて、命を惜しまず戦って、皆追い返してしまった。たいそう不思議に思って、(押領使が)ふだんはここにいらっしゃるとも思えない人々がこのように戦いなさったのは、どういう方ですかと(二人の武士に)尋ねると、長年(あなたが)信頼して、毎朝召しあがっていた大根でございますと言って消えてしまった。
深く信心を持っていたからこそ、このような功徳もあったのだろう。
押領使・・・諸国の暴徒や盗賊を取り締まる役人
『ツッコミ解説』
押領使が大根を万病の薬として毎朝二つ食べている⇒もちろん理解できる。
押領使の館が襲われるが見知らぬ武士二人に助けられる⇒急展開だが理解はできる。
その武士二人が実は大根⇒へっ!?
やっぱり信心ってすごいよねという締め⇒理解不能!
さて、信仰の対象に助けられるという話は特に珍しくもありませんので、それが神仏の類ならばこちらも受け止めることはできるんです。
ただ今回、それが大根。毎朝二つも食べていた大根。健康のために食べていたのに功徳は物理攻撃。とても受け止めることができません。
ただ、それを”信心って大事だよね”的に締めてしまうこの時代の空気感を中学生の方には味わっていただきたいと思います。
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