古文独特の世界観を現代人ならではのツッコミを入れながら楽しく学んでいきましょう!!
さて、今回の作品は御伽草子集より『田真、田広、田慶、この三人は兄弟なり』です。どうぞお楽しみください!
【このお話のツッコミポイント】
あなた達疲れてるのよ。
『原文(入試用問題文)』
田真(でんしん)、田広(でんこう)、田慶(でんけい)、この三人は兄弟なり。親に遅れてのち、親の財宝を三つに分けて取れるが、庭前に紫荊樹(しけいじゅ※)とて、枝葉栄え、花も咲き乱れたる木一本あり。これをも三つに分けて取るべしとて、夜もすがら三人僉議(せんぎ)しけるが、夜のすでに明けければ、木を切らんとて、木のもとへ到(いた)りければ、昨日まで栄えたる木が、にはかに枯れたり。田真これを見て
『草木心ありて切り分(わか)たんと言へるを聞いて枯れたり。まことに人としてこれをわきまへざるべしや』
とて、分たずして置きたればまた再びもとのごとく栄えたるとなり。
『現代語訳』
田真、田広、田慶、この三人は兄弟である。親の死後、その財宝を三つに分けて取ったが、庭前に紫荊樹という名の、枝葉がよく茂り、花も咲き乱れた木が一本あった。これをも三つに分け合おうとして、夜通し三人で相談したが、夜がすでに明けたので、木を切ろうとして、木のもとへ行くと、昨日まで青々と茂っていた木が、急に枯れてしまった。田真はこれを見て
『草木にも心があって切り分けようと言ったのを聞いて枯れたのだ。まことに人としてこのことをわきまえないでよういだろうか。』
と言って、分けないでいたところ(木は)また再び元のように青々とおい茂った。
『ツッコミ解説』
三兄弟の遺産相続、確かに大変だとは思います。疲れもするでしょう。でもね、何がどうなったらたかが庭木を3つに切り分けるなんて結論になるのでしょうか。
これが、伽羅や白檀なんぞの高価な香木とかだったらまだ話も分かるんです。でも、紫荊樹って低木で木材としても使えません。確かに樹皮は漢方でも用いられるようですが、そんなに貴重な木でもありません。
そりゃあ紫荊樹もビックリしますよ。「えっ、オイラ3つに切られるの!!」って。そりゃあ枯れもしますよね。
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